ITRES社製、高性能ハイパースペクトルセンサとサーマルセンサ
ITRES社は創業以来30年以上、革新的な技術でリモートセンシング業界をリードし、高精細ハイパースペクトルおよびサーマルマッピングイメージャを提供しています。
ITRES社は長年のハイパースペクトルに関する研究開発経験によって、リモートセンシング市場に多くの製品を発売し続けてきました。製品群としては、ハイパースペクトルVNIR(可視近赤外)、MWIR(中波長赤外)、サーマル赤外イメージャ、RFベースの遠隔操作および監視システム、空中リアルタイムハイパースペクトル処理システム、さらにワイドアレイVNIR(可視近赤外)などがあります。
ITRES社は、業界初のワイドアレイ・内部冷却式広帯域サーマルイメージャー(撮像装置)TABI-1800を発売しました。IPS™(In-flight Processing System)は、飛行中にハイパースペクトルとサーマルのジオメトリ補正とオルソ補正を行い、あらたな価値を生み出しています。緊急対応や精密農業など、完全に処理されたデータへの迅速なアクセスを必要とするアプリケーションにとって、データの所要時間はかつてないほど短縮されています。
ITRES社は、UV(紫外)からLWIR(長波長赤外線)までの広範囲をカバーする飛行機搭載型センサ、及びドローン搭載型マイクロセンサがあります。マイクロセンサは、以下のスペクトル範囲を対象としています。
SPECTRAL RANGE (MICRONS) |
IMAGING PIXELS |
FOV (DEGREES) |
IFOV (MRAD) |
SPECTRAL BANDS |
WEIGHT | |
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uCASI-1920 | 0.4 - 1.0 | 1920 | 36.6 | 0.36 | 288 | 2.5 KG |
uSASI-640 | 1.0 - 2.5 | 640 | 40 | 0.49 | 256 | 4.5 KG |
uSAVI-640 | 0.4 - 2.5 | 640 | 40 | 1.8 | 256 | 5.0 KG |
uTABI-640 | 3.7 - 4.8 | 640 * 512 | 21/40 | N/A | 1 | 3.8 KG |
microCASI-1920
uCASIは、400~1000mnのVNIR(可視近赤外)スペクトル範囲で動作し、植生の健全性、環境モニタリング、水質特性の調査に使用されています。すべてのITRESマイクロシステムは、データ撮像とGNSS / MEMS慣性システムが統合された完全なターンキーイメージャー(撮像装置)です。
“Courtesy of AirborneLogic Pty Ltd”
森林環境のモニタリング
地球温暖化や気候変動が急速に進む中、近年、森林地帯への注目が高まっています。 ハイパスペクトラムセンサを用いて森林の健全性をモニタリングすることで、炭素隔離、生物多様性、樹木のストレスの原因などに関する正確なモデルを構築することができ、さらには深刻化する森林火災の管理にも役立ちます。下の左の画像はトゥルーカラー画像のモザイク、右の画像はフォールスカラー赤外線画像のモザイクです。以下の2枚の画像は植生指標の組み合わせです。専門家が傾向を監視し、ストレスを特定し、それをどのように軽減できるか検討できます。
-
紫色の画像(左下):
R:緑化指数
G:ブルー/レッドインデックス(BRI)
B:M-SAVI指数(修正土壌調整植生指数) -
青い画像(右下):
R:Currie(カリー)蛍光
G:LCIインデックス(葉のクロロフィル・インデックス)
B:クロロフィル(葉緑素)
UCASI-1920 Radiance Data Cube
“Imagery Courtesy of RedChina Geosystems (HK) CO.,
河川の水質と植物の調査
沿岸、湖沼、内海などでの環境水や水生植物の調査、浅瀬域調査や水深、川底の地形調査(コンタ作成)に利用できます。
自動マスキング処理で水質と植物を調査する
以下の例は、水面を自動マスキング処理した結果を示しています。ITRES社で開発されたルーチンを用いて、2つのマスクの擬似反射率画像の作成が可能となります。
“Imagery Courtesy of U.S. Army Corps of Engineers”
赤潮による海洋生物への影響(論文)
RS(リモートセンシング)技術で、沿岸地帯の画像を生成することができますが、HSI(ハイパースペクトルイメージング)データの何百ものバンド層は、研究者が高度な分析を行い、スペクトルを光学的な水の特性、底生生物の分類、海中の植生と関連付けることが可能です。韓国では、赤潮の発生による海洋生物への有害な影響を理解するために、ITRESのUAV(無人航空機)ベースのハイパースペクトルVNIR(可視近赤外)センサーを使用した研究論文が発表されています。KIOST(韓国海洋科学技術院)は藻類の繁殖を定量化しただけでなく、ITRESのmicroCASIを用いて細胞の存在量マップを作成し、これらの(M. polykrikoides:有害赤潮渦鞭毛藻)異常発生による被害を軽減するための対策を立てることができました。
uCASI for Environmental Assessments
河川の調査
農地に沿って流れる河川の調査です。これらの反射率マップは、それぞれ、Chl(クロロフィル), Phos(リン), Nit(窒素)、+ アンモニア性窒素、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質濃度(SSD)を示しています。このようなマップは、水質の変化を監視し、周辺の生態系への影響や社会への潜在的な悪影響を把握するための、客観的で科学的なデータの重要な情報となります。
uCASI Water Quality Reflectance Maps
Tree Classification and Stress Levels
樹木の分類とストレスレベルの調査
ITRESのユーザであるQuantum Spatial社は、電力会社向けに空中LiDARとHSIを導入する大規模なプロジェクトを実施しました。このプロジェクトの背景には、2002年以降、侵略的な甲虫類であるエメラルド・アッシュ・ボーラーが北米全土で数億本のトネリコの木を枯らし、脅威となっており、LiDARから得られた林冠の高さモデルを使ってHS(ハイパースペクトル)データキューブをマスクするというものでした。変換されたデータキューブからグランドトゥルースのサンプルを抽出できました。
樹木の分類とストレスレベルの調査
Quantum社は、電力会社の公共施設システムの2700マイルに渡って、送電線に衝突する可能性のあるトネリコの木を特定することに成功し、緩和措置を講じる必要のある場所を大幅に絞ることができました。
Tree Canopy Health Classification
SASI-600
特定の堆積物の検出
自然災害が世界的に増加していることは周知の事実です。これまでの航空写真や衛星写真では、緊急時に必要となるHS(ハイパースペクトル)からの付加価値のあるスペクトル情報は得られませんでした。以下の画像からは、洪水に関連する特定の堆積物が特定の場所に堆積している状態がわかります。このように、特定の汚染物質を識別し緊急対応を行う必要があります。
2.5m pixel GSD, SASI-600
Green tinge related to flood sediment deposited on river edges, racetrack & roadways.
Bands:
R: 1347.5nm
G: 1767.5nm
B: 2367.5nm
Decorrelation stretch to highlight sediment & painted roof surfaces
TABI-1800
山火事など、Hot Spotの検出
TABIは0.05°Cの小さな温度差を把握可能です。厚い煙の状態でも検知でき、火災マップを作成可能です。以下は、飛行機搭載のTABI-1800で取得した画像です。
TABI-1800 Wildfire Mapping Imagery,Northern Alberta
(L)Calibrated and geolocated thermal imagery
(R)Same image after simple threshold operation,overlain on Google Earth
地下パイプの検出
その他の用途として、MWIR(中赤外)カメラは地下に埋設されたパイプを検出できます。